『新・適正飲酒10ヶ条の提案』



日本禁酒同盟
 

適正飲酒「新十ヶ条」を提案する。

 一.適正飲酒十ヶ条の弊害

 適正飲酒十ヶ条とはアルコール健康医学協会が古くから宣伝してきた標語である。「笑いながら飲もう」とか、「濃い酒は薄めて」など、重要とは思えない標語のほか、「適量にとどめよう」、「自分のペースでゆっくりと」など、あいまいな標語、「食べながら飲む習慣を」とか、「遅くても夜12時で切り上げよう」などという、裏返せば「飲む習慣」や「長時間飲む」ことを当たり前に思わせる標語、そして「休肝日をもうけ」、「定期的に肝臓のチェックを」すれば飲酒問題を防げると思わせ、アルコール依存症の人々を油断させ、深みにはまらせる標語からなっている。

 二、健康日本21

 一方、新世紀を迎えるにあたり「健康日本21」という健康に関するビジョンが発表され、その中に「アルコール」も取り上げられた。その中では、アルコールが「他の依存性薬物の入り口としての危険性を有する」こと、「1日当たり1合以上飲酒する人を減少させる」という目標設定が明記された。
 酒類業中央団体連絡協議会は、丹羽雄哉・厚生大臣(当時)へ、このビジョン案に反対であり、適正飲酒十ヶ条で十分であるとの意見書(「日本醸造公論」平成11年11月13日掲載)を送った。これは適正飲酒十ヶ条がいかに酒類業界にとって好都合なものだったかを逆に物語っている。

 三、適正飲酒十ヶ条への国際的評価

 適正飲酒十ヶ条はアルコール問題市民協会の記録(『アルコールシンドローム』23号)にあるように、平成三年の国際専門家会議で批判され否定された概念である。その会議で、アルコール健康医学協会の斉藤茂太会長と酒造業界の代表者の発言は、海外からの参加者に戸惑いを生み、「日本ではアルコール業界との協力体制ができているようだが、その功罪は?」という質問が出たり、「日本はお金持ちの国だと聞いているが、厚生省は企業からの支援がなければ独力でこの会議を開く力がないのか?」などという声が聞かれたという。

 四、適正飲酒十ヶ条にだまされないための新十ヶ条

 以下に新しい十ヶ条を提案し、読者の意見を求めたい。標語の目的は、古い十ヶ条に代わり、アルコール依存症の早期発見を主な目的としたものである。 

@笑いながら共に、楽しく飲もう → 家族が困る飲み方なら専門病院へ

A自分のペースでゆっくりと → 長時間の晩酌はアルコール依存症の危険サイン

B食べながら飲む習慣を → 習慣的飲酒は依存症につながる

C自分の適量にとどめよう → 安全量は1日1合まで

D週に二日は休刊日を → 止めたり、大量飲んだりは重症依存症の特有の飲み方

E人に酒の無理強いをしない → 酒に弱い人はきっぱり断ろう

F薬と一緒には飲まない → 酒を止めて、薬も減らそう

G強いアルコール飲料は薄めて → 薄めても酒は酒

H遅くても夜12時で切り上げよう → ワンパターンの一人酒は危険なサイン

I肝臓などの定期検査を → アルコール依存症は血液検査では分からない

 

  

財団法人 日本禁酒同盟
Japan Temperance Union